読書家になりたい

ボキャ貧が読んだ本の感想とか書くだけのブログです。

【読書感想】流浪の月

あらすじ

家に居場所がなくなった少女「更紗」は、大学生の「文」の家に転がり込む。二人が過ごした安息の数ヶ月は、女児誘拐事件と呼ばれた

 

感想

人はレッテルや先入観なしに他人を見ることは難しい。特に、自分達が理解できないことは無理やり理解できる形に解釈して理解しようとする、そう思いました。

そして、自分達が理解できる「普通の人」の方が幸せだと、無自覚な善意を押し付けることだってあります。

白い目というものは、被害者にも向けられるのだと知ったときは愕然とした。いたわりや気配りという善意の形で、『傷物にされたかわいそうな女の子』というスタンプを、わたしの頭から爪先までぺたぺたと押してくる。みんな、自分を優しいと思っている。

せっかくの善意をわたしは捨てていく。

だってそんなものでは、わたしは欠片も救われてこなかった。

 

とかく人間関係は難しいです。この物語で理想とされている関係は、お互い干渉しないで好きに生活するが、なんだかんだ影響を受ける関係性でした。

誰だって秘密にしたいことの一つや二つはありますが、SNSが発達した現代では見ず知らずの他人の生活にまで干渉できるようになっています。無関心でいること、干渉するのではなくただ隣にいること、そういった優しさを実感しました。

 


www.youtube.com