読書家になりたい

ボキャ貧が読んだ本の感想とか書くだけのブログです。

【読書感想】お探し物は図書室まで

あらすじ

町の小さな図書室にいる司書さんは、無愛想だけど聞き上手。

仕事や人生に行き詰まりを感じている5人の背中を、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で後押しする。

 

感想

心温まる話でめちゃくちゃ良かったです。

働き初めの社会人、中堅社会人、子育てしながら働く母、ニート、定年退職、5人の登場人物の視点から紡がれる短編集で、個人的に短編は「結末ありきで物語に深く入り込みにくい」からあまり好みではないですが、こちらの本はそれ以上に一つ一つの話を読み終えた時に満足感でいっぱいになりました。

 

登場人物それぞれの違った視点や立場に立つと、悩んでることも全然違って、人生ってほんと思い通りにいかないことばかりですよね。でも逆に、思っても見なかった嬉しいサプライズが起こることだってあるし、想像もしなかった方向に人って少しずつ変わっていきます。

変わるきっかけは人それぞれで、その人が何に感動し、どんな言葉が響くかなんてその人自身にしか分からないものです。いろんなタイミングや心の状態でも変わってきます。ただ、自分が何かを受け取ろうとしない限りはどんな言葉も心に響くことはなくて、本をセレクトする司書もただ話を聞いたり、意味ありげに本をおすすめするだけで、過度に干渉をしてこようとしない距離感がとても良かったです。

どんな本もそうだけど、書物そのものに力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ

 

誰にでもおすすめできるというか、誰が読んでもその人だけの何かを得られる作品だと思いました。