読書家になりたい

ボキャ貧が読んだ本の感想とか書くだけのブログです。

【読書感想】人間の大地

大地は僕ら自身について万物の書よりも多くを教えてくれる。なぜなら大地は僕らに抗うからだ。人間は障害に挑むときにこそ自分自身を発見するものだ。

広大な大自然に比べたら、あまりにもちっぽけな人間という存在。どれだけ技術が発達し、自然の脅威を克服しようとしたところで、不意な災害によって甚大な被害が発生しています。

実際にパイロットとしてのキャリアを持ち、不時着して飢えや渇きに苦しむ極限状態を生きた著者の経験談は、とても印象に残りました。

 

困難な状況でも、一歩踏み出す勇気

危機的状況に陥ったときに一番苦労すること、それは考えることを止められないことという話があります。

困難を乗り越えるには今の状況を忘れる必要がある。けれど、脳みそが言うことを聞かない。頭の中がタービンみたいに回転し続ける。そこに救いをもたらしてくれるのは、一歩を踏み出すこと。一歩、また一歩。同じ一歩を繰り返す。確かな重みをもって大地を踏みしめる。

 

普段、何不自由なく暮らしている時には感じないが、もうだめだ、絶望の底に触れたと思った時にこそ見えてくるものがあります。たぶんそれは責任とか、役割といったものだと思います。たとえそれが、どれほどささやかな役割であっても、もう少しだけ頑張ってみようと思える理由があるのなら、また一歩を踏み出せる

困難な状況で前も見れなくなったとき、こちらの本の存在を思い出せば、また前を見る勇気をもらえる。自分にとってそんな本でした。

 

以下、印象に残った言葉

僕に生きる喜びを教えてくれるもの、それは香ばしくて、舌が焼けるほど熱い朝食の最初の一口だ。牛乳とコーヒー豆と小麦の入り混じったあの味だ。・・・人はこの味を通して、自分の惑星の大地と結ばれる。

手の届かないところにある共通の目的によって同胞と結ばれたとき、僕らは初めて胸いっぱいに呼吸することができる。経験によれば、愛するとは互いに見つめあうことではない。一緒に同じ方向をみつめることだ。